遊歩百景

書き物をします。

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

自罰

順調に生活している人々のことを、妬んだり、羨んだり、逆恨みしたりしないよう、自らを抑え込むのも、楽ではない。それらの感覚は、不作為的に生まれるものである。根が張られる度に、自分の肉ごと腕ずく引き抜くその痛さよ!穴ぼこだらけの土壌を眺むその…

2022/9/21

耐え難い夜だ。ひたすらに落ち着かないが、何をするのも億劫だ。本も読めない。映画も観られない。アイデアも出ない。制作が進まない。何もできない。無駄に時間を潰すだけ。叫び出したい衝動を、努力して抑えている。 やはりずっとこんな調子なのだろうか。…

喜悦

このごろ、しばらく前までは感ぜられていた、作品を創る喜びを、あまり覚えていない。無論、以前だって、十のうち一、二の喜びがある程度で、残りは苦しみやら憂鬱やらで占められており、別に大して欣然と事に及んでいた訳ではなかったが、それでも、今より…

姉、ないし兄へ

私は弟との二人兄弟であるが、実は両親は私の前に一人、死産を経験している。このことはずっと昔に、父親に聞かされたことだ。母親とは、その話をしたことはないように思う。 例によって、その時分私は何かしらの理由で父から説教をくらっていた。理由は覚え…

不義理?

ああ、最低な私の人生!

憧憬

『フロオベエルはお坊ちゃんである。弟子のモオパスサンは大人である。芸術の美は所詮、市民への奉仕の美である。このかなしいあきらめを、フロオベエルは知らなかったしモオパスサンは知っていた。フロオベエルはおのれの処女作、聖アントワンヌの誘惑に対…