遊歩百景

書き物をします。

創作

 作品を創っていくことは、それでもやはり幸福であり、その輪郭が、目鼻が、匂いが、漸々と現れ出でるその瞬間々々は、えもいえぬ美しいものだが、変幻自在なイメージがそうして具体的な実像を結ぶにつれて、同時に、朝靄の中遠巻きに見咎める美人が、その実接近してみると案外に欠点が多いことに気づかされるような、そんな原理か知らぬが、兎も角も、もはや自明だったはずのその価値が、揺るがせになり、結局、釈然とせぬまま、なし崩し的に、何やら出来てしまったから取り敢えず出荷するというような、そんな爽やかでない終わり方をすることばかりだ。

 

 それは、命綱を断たぬための本能的な自衛なのか、或いは。