遊歩百景

書き物をします。

哀訴

 妾が今から毒呑んで死んでゆくのは、妾を無下にした貴方たち一人ひとりの責任なのよ。無関係な面なんて、しちゃあいけないわ。

 

 妾、毒じゃなくて、貴方たちの見えない手に首しめられて、泡吹いて、息つっかえて死ぬんだわ。

 

 せめて、妾の体温が引いていくのを、陶器みたく冷たくなるのを、その感覚をその手に覚え込ませたいなんて、顔を洗う度に、愛する人に触れる度に、マザマザとその冷たさを思い出させたいだなんて、一生癒えない痣になりたいなんて、莫迦ね妾、この人たちにそんな血の通った感じ方なんてできようはずもないのに。

 

 でも、でも、妾が惨めに一人で死んでいくのに、みんな暖かい食事とって笑ってるなんて、そんなの、あまり、あまりだわ。

 

 人殺し!人殺し!人殺し!人殺し!人殺し!