盲管銃創 (wavelet)

万朶の花弁にさえも如けり

豊饒に過ぎる明眸 嗚呼いでや

玉容は瑕瑾もない

目線合えど弁疏のしようもない

華奢な肩の重みやらを

受ける度背を駆け抜ける不徳

体温をさも盗人かのように掠める

安堵しようもないような

光輝を放つ銃口

這う舌の蠕動に濡れ

鮮烈なるその瞬間を待つ

玩弄するように揺れる

赤いポインターのダンス

投降しても照準は

無抵抗へ向かう

一瀉千里

容赦ないヘッドショット

解放さる無数の虹彩

遺漏はない 哀訴は詮無い

夙夜夢寐

狡猾なヘッドショット

熱を帯びる銃創が痛い

もう仕様がない

甘んじよう

風を送る鶯舌にまでも如けり

玲瓏なる詠吟が調律 嗚呼いでや

声音は澱もない

耳朶に入る電気を銷しようもない

作りの細い肌膚やらを

触れる度頭頂駆け抜ける不徳

湿り気をさも害鳥かのように掠める

厘毫も解せないような

凄艶なる硝煙

謎めいた異香で薫染し

吐息に呆け雲散霧消する

間髪なく這い寄る

黒いハンマーのリップノイズ

蹲踞しても照準は

無抵抗に向かう

一瀉千里

猪口才なヘッドショット

目敏い追討が辛い

倨傲は敢えない

どうしたって弱い

夙夜夢寐

高尚面なヘッドショット

脳髄を打つ薬莢の快哉

もう仕様がない

甘んじよう

装填してよ

ねえ

装填してよ

ねえ……

一瀉千里

容赦ないヘッドショット

解放さる無数の虹彩

遺漏はない 哀訴は詮無い

夙夜夢寐

狡猾なヘッドショット

熱を帯びる銃創が痛い

もう仕様がない

甘んじよう

一瀉千里

猪口才なヘッドショット

目敏い追討が辛い

倨傲は敢えない どうしたって弱い

夙夜夢寐

高尚面なヘッドショット

脳髄を打つ薬莢の快哉

願ってもない

さあ狙えよ