遊歩百景

書き物をします。

籠鳥 (wavelet)

鉄格子の間隙より

差し込んだ陽光に目を覚まし

干上がるような喉を

塵埃の浮く水で辛うじて潤す


罪状は一体何か

見当は枚挙に暇がないが

仮令何万回詫びようと

間違いは撤回不能でしょう


与え奪う希望の明滅

翻弄される尾籠な浮沈は芸か

生も死もえ選ばず 惰性で毒餌さえも喰らう

痺れる両翼を呪うて

宵闇へ向かい高い叫声を上げる


疲れに酔うてしまい

糜爛を植えし火焔の熱を忘れ

また再演へ向かう


例の隙間より陰陽を畳みし

朧に烟る宵月を睨み

それを美しいとさえも思う

未だに残る呑気さに失笑する


害したのは一体誰か

見当は枚挙に暇がないが

仮令何万周しようと

間違いは回避不能でしょう 


正し乱る希望の濃淡

陵辱される徒な消長は興か

是も非もえ選ばず 覚束ない感情に縋る

掠れる両の目を覆うて

宵闇へ向かい高い叫声を上げる