遊歩百景

書き物をします。

六本木~摩天楼に咲いた夢~ (愚者礼賛)

六本木~摩天楼に咲いた夢~

 

ここは六本木さ誰もの憧れ

熱き夢を語った誰かの片割れ

 

飛び交う愛憎シーン 落ち合うお偉いさん

夜を裂く艶然ボイス 身一つじゃ足りやしない

浮かれた観光人 つまずくお嬢さん

GPSも狂乱す 導け彼処に

 

狐狸の類につままれたような明光

このご時世に似つかわしくなく豪奢

でもそれに惹かれているのだ

 

何かに焚き付けられるようにして

恐れも小言も見えないていにして

望まぬ被害さえもたらしていた

それでも若さを免罪符のようにして

全ては夢への糧さと解して

なに1つ足りぬまま見上げていた

ここは六本木さ誰もの憧れ

郷里の風を想う誰かの足かせ

 

行き交う陋習プレー 管巻きお父さん

闇打つシャッターサウンド 瞬刻も気抜けやしない

姑息な窃盗人 ボラれたお上りさん

真っ黒山蠢動す 万斛の悲哀

 

早すぎる足取りに抜かれ閉口

生き急ぐ日進月歩の功罪

でもそれに痺れているのだ

 

時間も才能もつれないし

世を憂うばかりの愚劣さ

語るるに落ちたり 俗ならむ欲望

不退転のはずの身 揺らぐ

 

何かに抗い生き抜こうとして

痛みもある種の瀉血なんて思って

憐れみと嘲笑を受け止めようとした

それでも波立つ心情は高くて

焦って力んで台無しにし果てて

ぼやけた視界に映っていた

ここは六本木さ誰もの憧れ

微醺にしがみついた誰かの道連れ