遊歩百景

書き物をします。

present (愚者礼賛)

present

 

便りもないままに 木々の色が変わる

身体を伝っていく 冷気に遊ばれている

 

笑わなくても 時間は流れ

この時さえも 私じゃないものが膨れてく

知らないふりを したい訳じゃない

無知な優しさ せめてまだ感じていたいだけ

 

可愛くあるうちに(その間に)

まだキスをください(ください)

よく知った私が 終わる時まで

眠りから目覚めて(目覚めて)

薄明かりを受けた(受けてた)

頼りない背中が ぼやけて割れてく

 

それは遥か先の 遠い先の希望

幼さが罪なら この身ごと裁いて

 

幾重の糸が 結んで絡み

揺りかごみたい 捕縛してあやし絆し嬲る

離れたくても 叶いはしない

どこまで来ても 鼓動鼓動絶えず身を揺らす

 

可愛くあるうちに(その間に)

抱きしめてください(下さい)

密やかな吐息に 気づく時まで

眠れずに探した(探した)

ポートレートなぞった(なぞった)

嫌いな目元さえ 愛おしく揺れた

 

可愛くあるうちに(その間に)

まだキスをください(下さい)

よく知った私が 終わる時まで

眠りから目覚めて(目覚めて)

薄明かりを受けた(受けてた)

頼りない背中が ぼやけて割れる

 

綺麗であるうちに(その間に)

終わらせてください(下さい)

優しいあの人が 怯える前に

結末もないまま(ないまま)

全てが変わりゆく(果てなく)

置き去りの私も 汚濁に沈んで