遊歩百景

書き物をします。

地獄行きの唄 (愚者礼賛)

地獄行きの唄

 

お上様御成だ蚊よりしげく猛る羽音呪わしい

一同渋面ご挨拶

知らぬ顔で持ち場着けば安らぎへと運び給へと

両手を合わせて申し入り

 

しかじかしてこの輩甚だ不遜

今こそ裁きを悪辣な如才に下さむ

 

ぐらりと業火が揺らめく焼き場

義理なし者には似合いの場所さ

己の罪過の万力喰らえ

悔やみて前世の許しをば乞え

 

毛脛晒し火輪よそに臥床続け

楽しい夢みた えんやこら声は子守唄

人の弱き痩せた腕に頼り果てて

その身肥やした 今日とて三合喰らいけり

 

しかじかしてこの輩甚だ不敬

今こそ怠惰の産み出した痛苦に報わむ

 

ぱらりとつぶてが毀れる岩場

甲斐なし者には似合いの場所さ

慚愧の溶鉱いざ飲み下せ

悔やみて前世の許しをば乞え

 

からりと悪鬼が嘲る御山

学なし者には過ぎたる場所さ

不埒な舌根打ち遣りさらせ

悔やみて前世の許しをば乞え

 

どれだけ待ってもその日は来ない

河原にゃ大口開く閑古鳥

*わの音頭で踊れや踊れ

悔やみて前世の許しをば乞え