遊歩百景

書き物をします。

当惑

 今日、首を吊ろうとしてみた。案外と、怖くなかった。怖いには怖いが、正直やれそうだった。足場を確保したまま、ぐっと重心を下げたり、そのまま片足を外してみたりしたが、感触がむしろ心地よかった。そればかりか、そうしていると、かえって安心した。もう生きていないような、なににも追われずに済むような気がして、落ち着いた。

 

 でも、やらなかった。どうしてだろう。いつかのように、どうしても怖くてよしてしまったのと違って、今日は、選んでやめたように思う。

 

 私は、畢竟、生きたいのと死にたいのと、どっちなのだろう。