遊歩百景

書き物をします。

未来

 今日で十七になった。

これまでの年月、それどころか昨日のことでさえ、白くもやがかかっているようで、本当はそれらは一切合切全く夢だと言われれば、納得してしまうかもしれない。

 

 まだ、若い。

 

 先日風邪をひいた。ほんの気のせいかもしれぬ症状が、刻々と蔓延し、立ち歩くことさえ辛く、ついに臥床した。

もしかして、このまま良くなることなんてないんじゃないかしらと、不安になった。

 

 結局、せきはしばらく残ったが、3日目にはずいぶん楽になってしまった。

 

 まだ、若い。

しかしいずれ、老う。

今が健康であればあるほど、この先が怖い。

身体が痛くなるだろうか。

立ち上がるとくらりとなるだろうか。

そして、いつか、本当に元に戻らなくなるだろう。

 

 稼ぐこと、歳をとること。

そういった全く普遍的な恐怖に、この青二才は、滑稽にうろたえている。

 

H.26